昨今ではデジタルシフトが進み、新聞折込広告という手法が用いられないケースも少なくありません。
デジタル系広告が隆盛を誇る以前は、“販売促進と言えば新聞折込広告”と言っても過言ではありませんでした。
新聞折込広告の利用にあたっては、少しでも無駄を省くために、自店の商圏を真剣に検討し、それに合わせて広告活動を行うことが基本です。しかし、デジタル化が進んだ今、活用されていない広告主様においては、商圏把握が徹底されていないように見受けられます。
実店舗を構えている以上、意識していなくても必ず商圏が存在します。そして、その商圏を正確に把握することこそが、まさにエリアマーケティングの第一歩なのです。

エリアマーケティングとは
特定の地域を細分化し、その地域ごとの「人口構成・世帯属性・購買行動・交通動線・競合状況」を分析し、地域に最適な「広告配布・商品配置・販促活動」を行う手法です。
広告出稿側の目的は次の3点に集約されます。
- 売れる地域を見つける
- 地域ごとに売れる方法を最適化する
- 無駄なコストを減らす
そして、最も肝心なのは「売れる地域を見つける」ことです。
「商圏を設定する」ことが第一歩
この中でも「売れる地域を見つける」、つまり「商圏を設定する」という視点が最初のステップになります。
商圏は未来永劫固定されるものではなく、競合店の出店や道路の新設などにより変動します。お客様の居住地の反対側に競合ができたとしても、商圏は影響を受けます。
常に環境によって変動するものであり、定期的な見直しが必要なのです。
「魅力度に比例し、距離の二乗に反比例する」という理論
これは、修正ハフモデルという理論で、店舗の魅力度が大きいほど来店確率が高く、距離が遠いほど来店確率が低くなると考えるモデルです。「魅力度に比例し、距離の2乗に反比例する」という関係で定義されています。
略式では「魅力度=売場面積」として計算されることが多いのですが、実際には価格・サービス品質など、さまざまな要素が影響するため、魅力度は流動的な要素です。
一方、距離と競合店の位置関係は絶対的な要素であり、これらを把握することが商圏設定の最低条件となります。
実際に商圏を設定する
新規出店で来店客データがない場合の手順です。
- 地図上に自店と競合店を記し、その位置関係から大きめの仮商圏を設定する。
- 仮商圏に基づき広告を展開、来店した顧客の居住地を地図上にプロットする。
- 比較的近いのに来店が少ない地域については、競合へのアクセスや魅力度などを調査し、改善策を講じる。
これを繰り返すことで正確な商圏を把握できます。
実はこの点、オールドメディアともいわれる新聞折込広告は非常に得意な領域なのです。
簡単な居住地把握の方法
紙のチラシの場合:クーポンに自宅の郵便番号を書いてもらう。
デジタル媒体の場合:クーポン発行時に郵便番号入力を必須項目にする。
いずれも最もシンプルで確実な方法です。
ちなみに、デジタルでのクーポン発行は、このビズトナリが得意とするGoogleの無料サービスを駆使して簡易的なものを実装することが可能です。
地図は必須
紙でもデジタルでも構いませんが、エリアマーケティングには地図が欠かせません。
さまざまな情報を視覚化することで、多くの気づきを得ることができるためです。
もちろん業態や店舗の規模によって、必要な縮尺は異なります。
魅力度の要素
- 売場面積(店舗規模)
- 品揃えの豊富さ
- 価格水準
- ブランド力・知名度
- サービスレベル
- 店舗の新しさ・快適さ
- 駐車場の利便性
- アクセスの良さ
- テナント構成(複合商業施設の場合)
- 商品の鮮度・品質
新規出店の段階であれば、これらすべてを考慮して立地を選べますが、既存店の場合は改善できる要素が限られます。
既存店で改善可能な主な要素は、「2.品揃えの豊富さ」「3.価格水準」「4.ブランド力・知名度」「5.サービスレベル」「10.商品の鮮度・品質」が考えられます。
これらを強化できれば、距離のハンディキャップを克服できる可能性が十分にあります。
商圏の規模感
当然のことながら、業態や店舗規模によって、商圏の規模感は異なります。
ここまで解説した内容と逆の観点から、商圏を設定する方法も考えられます。
例えば、
ニーズと目標シェア×予測利用頻度×世帯数or人口×etc = 目標の月額売上
というものです。そこで設定した範囲を絶対防衛権として維持していくという考え方です。
そして、商圏を拡大する場合は、より魅力度を強化するといった取り組みを繰り返すことで、業績アップに繋がっていきます。
なぜ新聞折込広告なのか
その答えは、地域に根付いた新聞折込の代理店だけが、こういったエリアマーケティングを得意としているからです。正直なところデジタル系の媒体社やポスティング配布会社にそういったノウハウは期待できません。なぜならば、彼らは新興勢力であるがゆえにそういったノウハウを持ち合わせていないケースが多いからです。
デジタル媒体では、それらしい情報が提供される場合もありますが、基本的には距離感しか考慮されておりませんので、真ん丸に近い商圏を提案されるでしょう。
新聞折込広告をエリアマーケティングのベースに
相談できる新聞折込広告代理店とお取引をすることで、商圏を組み上げることができます。
そこで作り上げた商圏を元に、デジタルなど他媒体の展開を考える、これこそが有効なエリアマーケティングの近道なのです。
