Googleドキュメント vs Microsoft Word

文書作成に欠かせないワープロツール。その代表格といえば「Microsoft Word」ですが、コロナ禍をきっかけに一気に利用者が増えたのが「Googleドキュメント」です。

WordはPCユーザーの誰もが一度は触れたことのあるソフトですが、Googleドキュメントを使ったことはありますか?

Googleドキュメントは無料で利用でき、しかもとても便利です。最大の特徴はシンプルさ。そしてオンラインに特化しているため、パソコンでもスマホでも同じように利用できる点です。

筆者の日常の例を挙げると、朝からオフィスで文書を書き進め、昼に外へ出かけたときにふとアイデアが浮かぶことがあります。そんなときでもスマホから同じファイルにアクセスして、そのまま続きを書き込めるのです。

以前は、PCのメモ帳アプリで下書きをしてからWordに貼り付けるやり方をしていました。しかしメモ帳だと外出先では思いついた内容をメモに残すだけで、戻ってから改めて清書する必要がありました。その点、Googleドキュメントなら書き直しの手間がなく、とても効率的です。

もちろん、最近ではオンライン版のWordでも同様のことが可能です。ただ、最初に「下書き用」としてGoogleドキュメントを使い始めたこともあって、今ではすっかりこちらが習慣になり、特別な理由がない限りWordを使うことは少なくなりました。

Googleドキュメントの魅力は、やはり「シンプルさ」に尽きます。

Wordは高機能で多彩な機能を備えていますが、実際にはほとんど使わない機能も多く、かえって操作に迷うこともあります。

その一方で、Googleドキュメントは必要最低限に機能が絞られているため、直感的に操作できるのが大きなメリットです。

ここからは、Wordと比較しながらGoogleドキュメントの利点をさらに詳しく見ていきましょう。


◇歴史的背景と進化の方向性

  • Microsoft Word
    • 1983年に初代Wordが登場し、長らく「文書作成の世界標準」として君臨してきました。
    • 特に1990年代以降、Windows OSの普及とともに「Word+Excel+PowerPoint」が事実上のビジネス標準セットとなり、企業・官公庁・教育機関で圧倒的シェアを築きました。
    • 当初は「紙に印刷すること」を前提にしたレイアウトや機能が充実しており、その設計思想は今も受け継がれています。
  • Googleドキュメント
    • 2006年、Googleが買収したWritelyをベースに誕生。
    • 「ブラウザで動く」「クラウド保存が基本」「自動保存・共同編集が前提」という、当時としては革新的な発想でした。
    • 特に2010年代に入ってからは、スマートフォンやクラウドの普及とともに急成長。教育現場やスタートアップ企業を中心に利用が広がっています。
    • 設計思想は「クラウド時代の軽快さと共有性」に重点を置いています。

👉 歴史を振り返ると、Wordは「紙と印刷文化」を背景に発展し、Googleドキュメントは「インターネットとクラウド文化」を背景に発展したと言えます。


◇利用環境とアクセス性

  • Wordの主流はインストール型。※オンライン版もある
  • Googleドキュメントは完全クラウド型。
    👉 「どこでもすぐに使える手軽さ」ではGoogleドキュメントが勝り、「安定したフル機能」ではWordが優位です。

◇機能比較(基本編と応用編)

基本的な文書作成機能
  • 両者とも太字、斜体、箇条書き、表挿入などは標準対応。
  • 短文の文書やレポートレベルなら大差はありません。
  • 但し、Googleドキュメントは使用できるフォントが限られています。Wordのように外部フォントをインストールして使うことはできません。

👉 シンプル&直感的な操作性はGoogleドキュメント、細かく作り込む本格派はWord。


◇ファイル互換性と外部連携

  • Googleドキュメント
    • Word形式(.docx)での保存・読み込みが可能。
    • ただし、複雑なレイアウトは反映できない場合がある。
    • PDFやプレーンテキスト、EPUBなど多様な形式にエクスポート可能。
  • Word
    • 世界的に標準的なフォーマット(.docx)。
    • GoogleドキュメントからエクスポートしたWordファイルも問題なく開けることが多い。

◇今後の展望

  • Googleドキュメント
    • AIによる自動要約、翻訳、文章提案などが進化。
    • 教育現場やリモートワークの標準ツールとして定着が進む。
  • Microsoft Word
    • Microsoft 365 Copilotとの連携により、AIが文章生成・要約・データ整理を支援。
    • 長年の利用実績から「公式文書のデファクトスタンダード」としての地位は揺るぎにくい。

👉 今後は「AIとの融合」が両者の競争軸になっていくでしょう。


以上、両者を比較しましたが、ところで皆さん、Wordファイルをそのまま提出することってありますか?

例えばお取引先への報告書などをWordファイルのまま送ること、これってどうなんでしょう?

Wordファイルは、改変可能ですので、うっかり間違いで書き換えてしまうこともありますし、中には意図的に書き換えられてしまうことも想像できるのです。

ですから、完成した文書をお渡しするときはPDF化するのが、ITのマナーではないでしょうか?

もし、お相手に加筆訂正をお願いする場合は、Wordファイルを添付して送るのではなく、オンライン上で文書ファイル自体を共有して作業を進めるのが妥当だと思います。


まとめ

  • Googleドキュメント
    • 無料で手軽、共有に強い。教育現場やチーム作業に最適。
  • Microsoft Word
    • 高機能で正確、公式文書に強い。ビジネス・研究用途に必須。

両者を対立させるのではなく、シーンに応じて賢く使い分けることが大切ですが、多くの場合Googleトギュメントで十分だと思います。


編集後記

今回「Googleドキュメント」と「Microsoft Word」を比較してみると、背景にある文化の違いがそのままツールの性格に表れていることをご理解いただけたと思います。

紙と印刷の時代に育ったWord、そしてクラウドとスマホの時代に登場したGoogleドキュメント。どちらも長所と短所があり、結局は「自分がどんな場面で文書を扱うか」によって使い分けるのが最適解です。

そして今回触れた「PDF化の習慣」や「オンライン共有での共同作業」は、単なるツール選び以上に大切な“情報の扱い方”そのものと言えます。

便利さと安全性を両立させることこそ、これからの文書作成に求められる姿勢ではないでしょうか。

あなたは次に文書を作るとき、どちらのツールを開きますか?